とうとう席替えの日。

僕は朝から憂鬱だった。

少し早く目が覚めた僕ははやめに

自転車でゆっくり学校へ向かう。

すると前に椎名さんの姿があった。

「椎名さん!」

椎名さんはゆっくり振り向いた。

「おはよう....ございます。松岡春樹くん。」

「ちょ、フルネーム?!」

「では松岡くんおはよう....ございます。」

本当にのんびりした話し方だった。

「自転車....後ろ。どう?」

椎名さんは嬉しそうに笑うとうなづいた。

僕はゆっくり。出来るだけゆっくり自転車のペダルを踏んだ。

椎名さんと2人の時間に心臓がうるさい。

「松岡くん....は親切なひとです。」

椎名さんがつぶやく。

「えっ....そんなぁいや、あははは///」

幸せな時間が過ぎて行った。




学校につく。

僕は自転車を置き場にとめにいくから先に

教室へ向かうよう椎名さんに伝えた。

ところが椎名さんはなかなかその場を動かなかった。

「椎名さん?」

椎名さんの細い指が僕のカーディガンをそっとひっぱる。


「松岡くん....一緒に行ったら....ダメですか...?」

僕の心臓はより大きく鼓動をうった。

「へっ!?う、いいの!?」

僕の焦りように椎名さんはクスッと笑った。

僕は正直自惚れていた。

でも椎名さんは天然だから

恋愛感情ではなく僕を友達としてみているのかも。

そんな不安もあった。

僕達は一緒に教室へいった。


途中椎名さんは

「彼氏....できたらこんな感じなのかなぁ....初めてです。
一緒に教室行くの....」

とつぶやいた。

教室へついたら皆が


「お前ら!?」

「付き合ってんの!?」

「キャー」

「ヒューヒュー」

たくさんの冷やかしをうけた。

椎名さんはまた笑うと

「付き合ってるみたい....だね。」

僕に笑いかけた。

反則だ。