───「これはいる物ぉーっ。これは…うーん。」
あれから結局、花見ちゃんの部屋に行くハメになった私は、ただ花見ちゃんの荷物まとめをぼんやり見ていた。
(私って…何のためにいるんだろ…。)
そう思って、大きなあくびをした瞬間。
花見ちゃんが私に顔を近づけてきた。
きっと私と花見ちゃんの顔の距離は、10センチもないと思う。
私はゆっくり後ずさりした。
(な…何…!??)
「今まで黙ってたけど、あんたって土方さんのことが好きなのよねぇ…??」
花見ちゃんの声の高さが一気に下がり、低い、男みたいな声に。
私に寒気が襲い掛かる。
な…!!
まさかこれが花見ちゃんの本当の姿っ!??
声だけじゃない。
動きだって、喋り方だって全然違う。
まるで別人のようで……
「好きなのかって聞いてんだよ!!!!!」
「ひぃぃぃっ!!!」
胸元の服の部分を掴まれ、私は動きを止めた。
こうなると、頷くしか方法はない。
私は何度も頷いた。

