「おい、真珠。入るぞ。」

「…ひ…!!」

私は泣いてることを気づかれないように、目を手でこすった。

でも逆効果で。
目の周りが真っ赤。

(わわわ…!!どうしよ…!!)

慌てたって仕方がない。
土方さんはもう、部屋に入ってきてるもん。

土方さんは私の顔を見ると、顔をしかめた。

「お前…泣いてるのか…??」

「……!!」

やはりバレてしまった。
私も覚悟はしてたけど…。

「いえ…、ただ目がかゆくて…。」

「……」

土方さんは、私を疑うようにみてきたけど、話を始めた。

「俺ら新撰組は屯所を移ることになった。」

「え、屯所…ですか??新しい屯所に移るんですか??」

「ああ。西本願寺だ。」

「西本願寺…」

うーん。
ピンとこない。

なんてったって、外に出ることもあんまないし。
勉強だってしてもないし。


「だから、荷物をまとめておくように。」

「…は、はい。」

そう言ってから、土方さんは出てった。

(今気づいたけど…)

今、私と土方さんって…

部屋に二人きりだったの!??

わー…

今更だけどドキドキしてきた。


「真珠ぅぅっ」

「げげっ!!」


障子の向こうからする声は…
聞けばすぐに分かる、花見ちゃんだ。