「でも悩んでるのは私だけじゃないの。沖田さんも、すっごく悩んでる。」
「…悩んでる…??」
佳代ちゃんは首を傾げると、呟いた。
よく理解できてない佳代ちゃんに、私は昨日の出来事を丁寧に話した。
沖田さんが悲しんでること、苦しんでること。
そして今、私が本気で悩んでること。
話し終えると、佳代ちゃんは一滴、涙を流した。
「…そ……っか…」
そう呟くと、透き通るような綺麗な瞳で私を見つめた。
「私も昨日、沖田さんに会ったよ…。」
「…え。」
「お茶を持って、沖田さんの部屋まで行ったの。」
「…」
私の顔が一瞬にして曇った。
ねえ、沖田さん。
皆、沖田さんのことなんか忘れるわけないでしょ…?
「…昨日だけじゃないよ。…毎日、…ずっと。」
「…え。」
「でも沖田さんには会わなかった。…ずっと見てただけだから。」
「…」
どういうこと??
沖田さんの部屋に行ったのに、会わなかったってどういうこと??
佳代ちゃんは、これまでのことを私に話してくれた。
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「…っと。沖田さんにお茶でも出そう。」
私はそうやって、沖田さんの部屋までお茶を運んだの。
…でも、いつも沖田さんの部屋の前に来ては、足を止めていた。
そっと障子を開けて、中を覗くと、そこのはいつも笑ってる沖田さんが、悔しそうに泣いてる姿があった。
「…俺は…、絶対に…、また刀を振ってみせる…!!…ぜ…ったい…に…!!」
「…」
沖田さんはいつもそう言って、刀を握ってた。
体は震えていて、今にも倒れそうで。
思わず助けに行こうとしたけど、やっぱり足を止めてしまってた。
そうして何分も突っ立ってても、結局はそのまま自分の部屋に帰ってた。
勇気がなくって。

