いつも朝食のいい匂いをかぐと、すぐヨダレを出してしまう私も、今日は何故だかヨダレが出ない。
なんでだろう...??
「…ズズッ…、…ひっく…」
あ、そうか。
鼻がつまってるからだ。
私は納得すると、佳代ちゃんを見てこう言った。
「もう大丈夫。よし、朝食作るぞっ!!」
「…真珠ちゃん…。」
佳代ちゃんは心配そうに呟くと、私の顔を覗き込んできた。
私は思いっきり微笑む。
「大丈夫だって!!心配かけてごめんね。」
「…」
泣いた理由。
佳代ちゃんが私に気をつかってくれたことはもちろん、昨日の沖田さんとの会話。
あの時の沖田さんは、今まで見たことのない沖田さんだった。
誰も知らない、沖田さんだった。
もしかすると、ずっと一人で苦しんでたのかもしれない。
ずっと泣いてたのかもしれない。
我慢してたのかもしれない。
そう思うだけで、胸が苦しくなる。
なんでだろう、私。
沖田さんとの距離が遠ざかったような気がする。

