花見ちゃんは、土方さんを狙うとか言ってたくせに、やはり他の隊士も狙っているようだ。
花見ちゃんて、一途じゃないな…。
心の中で思うと、私はクスッと笑った。
まぁ、そこが花見ちゃんらしくていいけどね。
ーーー朝食を食べ終えると、私は道場へ向かった。
久しぶりに稽古でもしよう、と思ったからだ。
(久しぶりだから、なんだか楽しみだなー…)
私はスキップしながら、道場へ向かった。
道場へ入ると、思わず身を隠してしまった。
そう。
そこには、必死に木刀(ボクトウ)を振っている、沖田さんの姿があったから。
私は息を呑んだ。
(沖田さん…、労咳(ロウガイ)で苦しんでるのに、稽古をしてる…)
病で苦しんでるというのに、新撰組の一員として、また刀を振りたいに違いない。
そう思うと、心が締め付けられたように、痛く感じた。
「沖田さ…」
呼び止めようとしても、ついやめてしまう。
沖田さんの表情が、物凄く真剣だったから。
「…ケホっ…ケホっ…!!」
「…お、沖田さんっ…!!」
座り込み、咳き込んでいる沖田さんを見ると、つい声をあげてしまった。
沖田さんが、私の存在に気づき、軽く笑った。
「…なんだ…。見てたんだ…。」
「沖田さん!!稽古なんかしてる場合じゃありませんよ!!」
そんな私の言葉を無視するように、沖田さんはゆっくり立ち上がった。

