佳代ちゃんに話して、だいぶ気持ちが落ち着いたみたい。

私は鼻歌をうたいながら、朝食を作った。


斎藤さんが、不思議そうに私を見つめてくる。

「何か嬉しいことでもあったか。」

「え!??…あ、いいい、いえ…べつに。」

「…?」


私は真面目に朝食を作った。

顔が真っ赤になったのが、自分でもわかった。


斎藤さんは、首をかしげてたけど、しばらくすると手を動かし始めた。


「…ったぁ…!!」

「はぁ…。もう二年も経つというのに、料理だけは上達しないな。」

「…そんなぁ…、酷いですっ!!」


包丁で切った手を水で洗いながら、私はムッとした。

ついこの前、斎藤さんに褒められたと思ったのに…。


「ねぇねぇ、は・じ・めくーんっ」

「…ゔ…。…な、なんだ?」


斎藤さんは顔をしかめてから言った。

よほど嫌だったに違いない。


「花見はすーんごい上達しましたよねぇ??ほらっ、見て見てぇ。」


花見ちゃんが甘えるように、斎藤さんの腕を掴む。

斎藤さんは顔を真っ青にして、その腕を振り払った。


「お前は朝食の支度を手伝わなくても良い。自分の部屋にでも戻れ。」

「えー??そんな酷いこと言わなくたっていいじゃないですかぁ。」


とってもしつこい花見ちゃん。

斎藤さんはあきれてため息をついてた。