王子様は旦那様

「でも、これはチャンスだと思った」


「えっ?何の??」


「お前…くるみに近付けるチャンス」


そう言うと、神矢君は綺麗な真っ直ぐな瞳をして、あたしを見つめてきた。


ドキッ


としながら、あたしは目を反らして


「だ、だから、結婚のコト認めたわけ??」


言葉にちょっと詰まりながら言った。


「そっ」


神矢君は、短く答えた。


「で、でもそれって、飛び過ぎじゃない??普通は付き合ってから、結婚するもんでしょ??」


「まぁ、そうだね。だから、“婚約”ってところかな」