俯いた辛の気持ちすら、時雨は全て解っているようだった。


そして、手を差し出す。


「じゃあ、そろそろ行こう。


かの」


昔のように、呼ぶ。


「かのって言うな」


手を払いのけて、


辛は部屋を出た。