本の中の王子様




 

 わたしが借りた5巻には
 思わぬことが起こっていた。


 

 初めの1ページをめくると、
 ノートの切れ端が入っていた。




 [この本好きだよ。

 あんまり読んでるやついね-けどな。



              颯人]



 高峰くんだ。




 高峰くんからだ。




 彼がわたしをわかっているかどうかなんて
 知らない。



 だってわたしは彼と話したことがない。




 だけど、無性にうれしかった。