「えッ、何それ!もっと聞かして!?」
「いやさ、ただの想像なんだけどね
その現場見たらそうとしか思えなくて」
「現場の様子って……
どんなんだったの?」
――ソレ以上、喋ラナイデ……
「酷いもんだったよ……
私と旦那が第一発見者でね
その日はちょうど私の実家から野菜が届いたから、美嘉さんにもって思って
インターホン押しても返事がないから、急いで中に入ったら……美嘉さんに陽さん、美陽くん
それに犯人の遺体が、ね……」
当時の事を思い出したのか、身震いする
嘉陽は足が縫い付けられたように動けなかった
手には汗が滲む
「初めは目を疑ったわ
その中に血まみれになったあの子がいたんだもの
無表情で立ってて……
しかも、たぶん陽さんのコレクションかしらね、日本刀が血塗れで」
「じゃあ犯人の男を殺したのって……」
「そう、嘉陽なのよね
私としては家も貸したくなかったんだけど……だって、いくら正当防衛ってもねぇ
殺人犯なんか泊めたくないわよ
それなのに旦那が……」
「へぇ……お宅も大変ねぇ
でもまぁ、その子だって子供だし……」
「普通の子供なら良かったのよ」
「どういうこと?」
「嘉陽ったら、泣かなかったのよ
葬式の時でさえ、涙一筋も流さなかった
ただ無表情で見てるのよ
ゾッとしたわ……
つくづく……」
――化け物じみてるわ
