Black Gold



「はい、葉琉です。
 PV撮影の短い間ですが、
 宜しくお願いします」

生ぬるい手と握手を交わした後
離れた俺の手には
小さな紙切れが残された。

………こんなモノ、要るかよ

返そうかと顔を上げた時には
もうすでに凛とした女は去った後だった

レナ、だっけな。

藍生がひっかからなくて良かった。

撮影開始の声の後、
俺はあの女の体温が残る紙切れを
思い切り投げ捨てた。