朝ご飯はおいしかった。私が食べている間、ヒカルはテレビを見たりケータイをいじったりでゴロゴロしていた。お味噌汁や焼き魚はヒカルが作ったのかと尋ねると、他に誰が作るんだと言って睨まれた。すごいよね。男の子なのに。
 食べ終わって食器を洗っていると、ヒカルが話しかけてきた。
 「花穂さぁ」
 「ん?」
 「サト兄のこと、好きでしょ?」
 ガシャンッ。
 持っていた皿がシンクにたたき付けられた。大きな音がしたけれど辛うじて割れずに済んだ。
 「あ、お前割るなよー。皿だって貴重なんだぜ。サト兄けっこう貧乏人なんだからな」
 ヒカルがキッチンまでやってきてシンクをのぞきこむ。
 「え…あの…」
 「なに?」
 「なんで…私が悟さん好きだって…」
 「はー?そんなの見てればわかるぜ?」
 見てれば…わかる…?
 私、そんなに顔とか態度に出てるの?どうしよう。もしかして、悟さんにももうばれてるんじゃ…?
 「安心しろ。サト兄は100パー気付いてない」