「友香はやっぱりその色が似合うね」

私は麻衣みたいに可愛いタイプじゃないから、ピンクは似合わないと思ってブルーを選んだのだ。

「うん、麻衣はやっぱピンクだよね」

麻衣は特に返事をしなかったけど、自分でもわかっているはずだ。
そんな私にないものを持っている麻衣が、たまに羨ましくなる。

「今日は何時間歌おっか?」

「とりあえず2時間でいいんじゃない?」

学校前から出ているバスに乗って、いつものカラオケに着いた。
この辺りの学生はたいていこのカラオケに来るから、放課後はいつも学生で溢れ返っている。
1番人気の機種が空いていなくて、仕方なく別の機種を選んだ。
麻衣が歌うのは最近私たちの間で流行っているゴイステ。

「ちょっとトイレ行ってくるね」

部屋を出てトイレに向かおうと廊下の角を曲がった時、見覚えのある女の子が待ち合い所にいるのが見えた。
小柄で大塚愛にちょっと似ている。
元彼、誠司の浮気相手だった。
となりにいるのは…誠司だ。

あの二人…まだ続いてたんだ…

誠司のことは忘れたつもりでいたけど、実際二人が一緒にいるところを見ると泣きそうになった。