黒髪に緩いパーマ。
身長は175センチぐらい。
髭を伸ばしているせいで年齢はよくわからない。

「私は迎え来るからいーや。友香、送ってもらいなよ!」

麻衣に背中を押されて、私はその人に送ってもらうことになった。

「車こっちだから」

この人も麻衣狙いだったんだろうなと思いながら後についていく。

「乗っていいよ」

車高が低めのクラウン。
助手席のドアを開けて乗り込んだ。

「家どっち?」

「緑町の方だよ、国道沿いのマックの近く」

「わかった。名前なんていうの?」

「友香」

「トモカ?」

「うん。そっちは?何歳?」

「コースケ。22歳。ダブってるからまだ3年だけど」

私は横目でコースケの横顔を見た。
彫りの深い目元。薄い唇。
もう少し年上に見えるけど、髭が無ければ案外若いのかもしれない。

「トモカ、彼氏いるの?」

「いないよー」

「いないの?可愛いのに」

お決まりの台詞。

「そんなこと思ってないくせに」

「なんで?思ってるよ」

コースケが信号を見つめたまま言った。