俺たちは、とあるショッピングモールのカフェに来ていた。

チョコは俺の目の前に座り、その華奢で細い指でストローをつまみ、小指を少し立て気味に、アイスティーの入ったグラスの氷をカランカランと鳴らして遊んでいた。


透けるような白い肌。

長いまつげの下の大きくて真っ黒な瞳に、
ピンク色でぽっちゃりした、だけど綺麗な形をした唇。

長くて綺麗な黒髪は腰近くまであった。

そして、今日着ている白いワンピースは、俺からのリクエストだ。

チョコは何を着ても似合うけれど、なかでも白い服は特別似合う。


美人には三日で飽きるなんて、そんなの大嘘だ。

──言っとくけど、コレ、全部俺のものだからな!


チョコは氷で遊ぶのに飽きたのか、下を向いてストローに軽くその唇をつけると、そのままアイスティーを上品に口に運んだ。


まるでお人形さんみたいだ。

そんな、繊細で、強く抱きしめると簡単に折れてしまいそうな俺の彼女は、ストローから唇を離すとゆっくりと俺を見た。



そして天使の微笑で…………


…………はなく、


眉間にがっとしわを寄せて、鼻息荒くこう言った。



「だからねー、さっさとやっちゃえばいいんだよ。それを、なーに二人して純情ぶってんだか。別にお互い初めてっていうわけでもないのにさっ!」


…………。


「あれ、どうしたのー? 陽人、なんか涙目になってるよー?」

チョコが身を乗り出して、無邪気に俺の顔を覗き込む。



……すまん、チョコ。

お願いだ。

あと一分でいいから、黙っててくれ。