電話を終えた陽人はご機嫌だった。

「ヤマタロ、暇ならお前も一緒に昼飯食いに行かないか?」

「いや、やめとくよ」

「気にするなよ、チョコも電話でヤマタロを誘えって言ってたし」


ありがたい申し出だが、今陽人とチョコを見たらそれだけで胸焼けがしそうで、昼飯どころじゃない。


「やっぱりいいよ。それにオレ、ジャージだし……」


すると、陽人はまるでそのことに今初めて気付いたかのように、オレのことを頭から足の先までじっと眺めた。

そして、薄ら笑いを浮かべながらこう言いやがった。


「おいおい。もしかして、その格好で帰る気か? そうか……お前、着替えるのも面倒くさいくらいふて腐れてるんだな?」



……陽人のヤツ、浮かれすぎだろ。


さっき自分がやらかした嫌がらせのことなんて、すっかりさっぱり忘れてやがる。

そっちがその気なら、デートについて行って、エリナのことも携帯のメモリのことも、チョコに全部暴露してやるぞ?




だけど、そんなオレの心のうちを知らない陽人は、オレのことを「かわいいヤツだなー、お前って!」なんて言いながら、がっちり肩を組んできた。


「なんか俺たちって、あの二人に振り回されて、似たもの同士だよなぁ」


……一緒にしてくれるなよ。