「えーっと……その前に、この話、誰から聞いたのかなぁ……?」

「タケ」

犯人はタケちゃんかぁーっ!
人が必死に隠していたのに!

タケちゃんって言うのは私の部活の後輩。

私のことを慕ってくれる癒し系の男の子なんだけど、最近どうも、私よりも私の彼のことがお気に入りの様子で。

彼から「タケ、頑張ってるかー」って頭を撫でられるたびに、ほっぺたを紅く染めて嬉しそうにニヤけているのは知っていたんだけど。

まさかここまで、彼に手なずけられていたとは……。


「タケから全部聞いたぞー。慎、部活に復帰したんだってな。どーりで最近お前たち、外で練習しないわけだ」

「イヤイヤ、別にそういう訳じゃ……」

「だったらどういう訳なんだよ」

そう言うと、彼は私の問題集に手を伸ばして、それをパタンと閉じてしまった。