One Day~君を見つけたその後は~

許して下さい、もう限界です。

これ以上こんな駆け引きを続けるなんて、私には無理……。


ついに私は、“逃げ”に走ってしまった。


「えーとえーと……。コンビニのお弁当には、デザートもつくのかなぁ?」

「……」

ああ……ヤマタロの顔から、一気に笑みが消えていく……。

なんだか部屋の温度、急に下がったよね?


「だって、ここの近くのコンビニ、自家製濃厚ミルクプリンが美味しいし」


……何いってるの、私!

この期に及んで、プリンなんてどうでもいいじゃん!


「……お望みなら、いくつでもつけるけど?」

冷静に答えてくれるヤマタロの、冷たーい視線がものすごく痛い。

……ヤバイ。

かなり、ヤバイ。

でも、もう後戻りするわけにはいかなくて。

「いやいや、ひとつあれば十分なんだけどね……。その……どっちも捨てられないなぁっていうか……」

「……」

これじゃ、ヤマタロが機嫌を損ねても仕方ない。

それはよーく分かっているから、返事もゴニョゴニョゴニョゴニョって、どんどん小さく、弱くなっていく。

「両方っていう答えじゃ、ダメかなぁ?」

「……」

……無言ってことは、ダメなんだよね。

予想通り、ヤマタロがだんだんイライラし始める。

「お前なぁ。この状況で、普通、迷うか? 言っとくけど、オレの相手、コンビニ弁当なんだぞ? デザートつけたら選べないって悩む程度か?」

「だってー!」

私は完全に涙目だ。
ううん、もう泣いてるかも。

「……怒るぞ」

「もう怒ってるじゃん!」

「だったら、襲うぞ」

「いや…できれば合意の上でお願いしたいんですけど……」

ダメ!
やっぱりバンジージャンプは、自分のタイミングで飛びたい!


……って。私、さっきと言ってることが違うじゃんっ!!