One Day~君を見つけたその後は~

「みーづーきー」

一音一音、響きを確かめるように、ゆっくりと名前を囁かれる。


そんな甘い声、やめてー!

しかも、艶っぽい顔で。

少し動いたらはずみでキスしてしまいそうなくらい、顔を近づけながら!



……“ご褒美”に欲しいもの? 

そんなの決まってるよ。

だから、今、こうして会いに来ているわけだし。


本当だよ?

分かってるんだよ?

私は別に“天然”じゃないから、ここでどう答えればいいのか、それくらいの空気は読めてるつもり。

私がひとこと答えれば、その先の筋書きは決まっていて。

そういうの、全部、暗黙の了解で……。


……でも。

頭で分かっているのと、実際にそれに乗っかることができるっていうのは、全く別の話なんだよー!


チョコにもよく言われるんだ。

『ヤマタロに全部任せて、流されちゃえばいいじゃん!』

って。

そうだよね。
そうできたら、楽だと思うよ。

でも、私にとっては“流される”って、とっても難しいことみたい……。




……なんだか、今の状況って、まるでバンジージャンプだ。

一歩足を踏み出せば、あとは重力にまかせてまっさかさまに落ちていくだけ。

でも、どうしても、ギリギリのところで足を踏ん張ってしまうんだ……。

だって、やっぱり怖いし。
不安だし。
恥ずかしいし。
ドキドキするし。

私、意気地なしだし!


いっそのこと、誰かに背中をポンって押してもらいたい気分だよ……。