そして、私の頭をぽんって叩くと
「ドア閉めるから、早く入って」
って。

「……うん!」

慌てて中に入って靴を脱ぐと、ヤマタロがドアを閉めて、カバンを持っていない方の手を差し出してくれる。

「……ありがと」

ちょっと照れくさいけど、私はヤマタロの手にそっと自分の手を重ねた。

「なんか、家の中で手を繋ぐのって、外でするより恥ずかしいよね」

「だったら、離す?」

……やだ! 

返事をする代わりに繋いだ手をぎゅっと握りしめると、ヤマタロは「了解」って笑った。


ヤマタロの部屋は、2階。

カバンを持ったヤマタロが前で、その斜め後ろに私。

手を繋いだまま階段を上がるのは、なかなか危なっかしい。

私は、足元に注意しながら、ヤマタロの後ろ姿をチラチラと眺めていた。

すると……大発見!
 
ヤマタロの後ろ髪がハネていて、階段を一段上がるたびに、ぴょん、ぴょんって揺れている。

いつもきちんとセットしてるところしか見たことがなかったから、それがとっても新鮮で、なんだか可愛い……。


「笑うな」

カバンを持っている手でハネた髪を隠しながら、ふてくされた口調でそう言うヤマタロ。


……あれ。
前を向いたままなのに、私が考えてること、バレちゃった?