「その言葉、深月からきちんと聞きたかっただけだから。あーあ、怒ったフリするのも楽じゃないよな」


「…………!!」




そしてヤマタロは、硬直したままの私の頭に自分の鼻を押し付けたかと思うと、くんくんって何度か大きく息を吸い込んで、

「それにしても、ポテチくせーな」

って笑った。



「お前、今晩しっかり風呂に入れよー。そのままじゃ、いくら慎が物好きだからって、間違いなく幻滅されるぞ」

「なっ、何よっ! こうなったのは、誰のせいだと思ってるのっ!?」

「中途半端な隠し事した自分のせいじゃん」

「……」



あーもうっ!

やっぱりヤマタロって、ムカつくっ!



その時、あまりにもタイミングよく、
今時珍しい「チーン」という間の抜けた音とともにエレベータの扉が開いた。


すると、あたしの頭を撫でて……というかポテチ粉を払っていたヤマタロは、

「さっきの続きは、深月が旅行から戻ってきてからだな」

って顔を近づけて、いきなり私にキスをした。