エレベーターで客室フロアに戻ったときには、もう23時を過ぎていた。

もうみんな、寝ちゃったかな……?

だけど。
エレベーターの扉が開くとタケちゃんが待ち構えていて、私を見るなり嬉しそうな笑顔で寄ってきた。

「あっ! やっと帰ってきた~!」

“やっと”って……タケちゃん、一体いつからここで待ってたんだろう?

「先輩、俺、決めましたよっ!」

「……え?」

「やだなぁ、もう忘れたんですか? 慎先輩と恭太郎さん、どっちを選ぶかって話ですよ」

「ああ。あれねー」

あの話、まだ終わってなかったんだ。


私は自分の部屋に戻ろうと、まだ賑やかな話し声が聞こえる大座敷を早足で通り過ぎる。

でも、タケちゃんは目をキラキラ輝かせながら、私の後をついてきて。

「俺が選んだのは、先輩です。深月先輩です!」

「私?」

……ん?
ヤマタロか慎のどちらか、っていう話じゃなかったの?

予想外の答えに、思わず立ち止まってタケちゃんのキラキラ輝く目を見つめる私。


え?

え??

二人じゃなくて、私を選んでくれるって……


「タケちゃん……。それって、どういうこと?」


ダメだよ? 
言っとくけど、私はヤマタロが好きなんだから……