あーもう。
いつまで怒ってるつもりなんだろう。

ヤマタロって、意外と大人気ないとこがあるんだよね……。

ホントなら「いつまでスネてるつもりなの!?」って軽くキレたいところだけれど、前もって慎の復帰や旅行のことを話さなかった私が悪かったっていうのも事実だし。

何より、こんな気持ちのままで、明日の旅行に行かないといけないなんてイヤすぎる。


……仕方ない。
ここは私が折れてあげよう!


“恋人”としてヤマタロと付き合うようになって三ヶ月。
こう見えても私だって、少しはヤマタロの扱いに慣れてきたんだから。


そう心に決めた私は、無言で私をじっと見つめるヤマタロに恐る恐る近づいた。


そして手を伸ばして、
「ホントに、慎とは何もないんだからね?」
って、制服の袖をくいっと引っ張る。


「あのね。ヤマタロがまだ“オレ”で、私にメールをくれてた時のことなんだけど……」

「ん?」

返ってきたのは、たったの一文字。
そんな“ん”には、ヤマタロの不機嫌さがぎゅっと凝縮されていて。


……どれだけ偉そうなのよ、もうっ!