廊下を走って私の部屋の隣を勢いよく開けようとして思いとどまる
そーっと・・・開けなきゃ
起こしちゃ悪いし・・・
カチャ
パタンッ
物音を立てないようにそーっと振り返ってみると
黒い女の人・・・もといあの子はスヤスヤと規則正しい寝息を立てながら眠っていた
足音を忍ばせてベットの近くまで行って少し驚いた
あの子の髪の色が綺麗な銀色だったから
私と同じくらい長さのあるその髪は、生際から毛先までまじりっけのない綺麗な銀色
染めたらここまで綺麗な色は出ないよね?・・・
ということは・・・地毛だよね?
虐待にあってたってどうしてなんだろ?
見た目は千鶴とは違う綺麗
でもその頬には、連れてくるとき気づかなかった刃物で切ったような痕がある
よく見てみると見えている怪我は頬だけで
ほかの怪我は少しめくって見ないとわからないところに密集していた
酷い・・・
「うぅ・・・お父さん、ごめんなさい・・・」
不意にさっきまで何事もなかったのに、急にあの子は涙を浮かべて謝罪の言葉を口にした
あの子の手を両手で包みながら心の中で問いかける
お父さんにされたの?
お母さん?それとも学校の友達?
この子が起きたら言ってあげよう
もう大丈夫だから・・・
私が力になってあげるから・・・
もう泣かないで・・・
私はそのまま眠ってしまった・・・

