「君、大丈夫?」 一瞬、水槽の中から声が聞こえた気がした。突然現れたように、けれど当然のように、その人は立っていた。 「大丈夫、です」 だから放っておいてと言外に言ってみてもその人は聞き取れなかったようだ。鮫ならわかってくれるのに。 「ここにはよく来てるの」 何だろう、新手のナンパだろうか。こんな場所で女が引っかかるとは思えない、引っかかるのは魚ぐらいだろう。 「ええ、まあ」