ギョルイ


 やる気のない中年の受付にチケットを渡し、面白みも潤いも無い硬質で灰色のコンクリートを踏み鳴らす。水槽に囲まれた空間でそっと息を吐く。暗い水の中にはグロテスクな姿の魚たち。顎が大きすぎたり、目が退化していたり――この星の無意識が作りだした形だろうか。冷たいアクリルガラスに手を押し当て蒼い水を見る。光の届かない場所で、ただひっそりと生き誰にも気付かれずに静かに消えていきたい。人間であるわたしには不可能な願いだった。