「さめ……?」 「気い付いたか、紅子」 わたしはそんなに長い間水の中に沈んでいたのだろうか。体感時間はそれほど経っていなかったようだったけれど。 「変な気起こしてるんじゃないかと見に行ってみたら案の定、だ」 「……死にたかったわけじゃないよ」 「さっきも聞いた」 鮫の表情は読めない。怒っているのか呆れているのか。もともとそんなに感情の起伏が激しいわけでもない。いつも通りの無表情で、ただわたしを見ているだけだった。