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「それで………?何か悩み事?」




モクモクと煙る焼鳥屋のカウンターで肩を並べる蒼介と遥。
よほど酒を欲していたのか、二人は一杯目のビールをあっという間に飲み干した。




「はぁ……
なんか最近風当たりが強くて。まぁ大した事じゃないんですけど…」




「へぇ………仕事の事?」




蒼介は皿の上で焼鳥の串先をクルクルまわす。




「……色々です。以前は適当に受け流したりしてたんですけど…。
疲れが溜まってるせいですかね…」




遥は意味ありげな笑みを浮かべ、長い髪をかきあげた。




「蒼介君も弱音吐いたりするんだねー。意外だわ。」




「俺だって疲れる時はありますよ。」




苦笑いしながら煙草に火をつける。





「…疲れもあるだろうけど、それだけじゃないでしょ。年齢的なものっていうか…30歳目前になると誰でも心境の変化はあるものよ。」




タバコの煙がカウンター越しの炭火から上がる煙とゆっくりと混じり合う。
若い頃なら煙く感じたであろう、狭い焼鳥屋を今はむしろ心地よく思えるのが不思議である。




「そんな大それた話じゃ……」




言いかけた言葉を飲み込んだ。




―30歳目前か…




『そんな幼稚な考えの人間………』


『いい大人が…』


『もっと大人な人がタイプなので…』




―あぁ…………
そうだ。この頃、やたら年齢を意識する事が多い気がする。