「そこって……?」




遥は不適な笑みを浮かべながら2つの白いカップにコーヒーを注ぎ、リビングに戻ると、その一つを誠の前に置いた。





「…………蒼介君の事、猫かぶりって言ったの。」





「……夏帆ちゃんが?」



誠は食べ終わった食器を端に寄せながら目を丸くした。




「しかも…あの合コンの日の次の日に言ってたの………。よく話してもいないのに、見抜いちゃったのよ?」




「ふーん……」



誠はテーブルに肘をつくと、面白くなさそうな顔つきで頬杖をする。





「じゃあ……あの日、ずっと不機嫌だったのは?笑われたのを怒ってただけじゃなくて?」




「嫌いなタイプなのね、きっと。」




自信満々に言い返す遥。




「なら、なおさら無理じゃん。
俺のほうが絶体可能性ありそうじゃん」




「それはどうかな…………誠がダメってわけじゃないけど。

……むしろ蒼介君じゃないと。って、そんな気がするの。」




誠が眉間にシワを寄せる一方で、遥の表情はどこかわくわくしているようにも見える。





「もったいぶるなよ」




チラリと誠を見て、すぐに手に握ったコーヒーカップに視線を落とす。先程までの笑みが消えて無表情になった。







「…………本質を見せないのは蒼介君だけじゃないのよ。
…………彼女も同じなのよ。」