「はぁ?なんだそれ。誰がそんな事言ったんだよ?」
今度は悠斗が眉間にシワを寄せ、怪訝そうに夏帆を見つめた。
「言ったじゃん。『俺がずっと守ってやるから』って。
従兄弟とはいえ、あの言葉は痺れたわー。」
「いやいやいや!おかしいだろ、それ!
『守る』じゃなくて『見守る』だろ!
…しかも、『夏帆が結婚するまで』ってとこが抜けてるし!!
都合よく変えてんじゃねぇよ!!」
「ちゃんと覚えてんじゃん。」
すかさず悠斗の隣にべったりくっついて座る。
「気持ちわりぃから離れろって…」
「よろしくねー、悠斗。」
今度は嫌がる悠斗の腕にしがみつく。
「だーかーらぁ。早く結婚相手見つけてくれよ…。俺まで婚期が遅れちまう。」
無理矢理、夏帆を突き放すと、手付かずのままのオニギリに手を伸ばした。
「………男なんていらない」
夏帆の冷たい言いぐさに、悠斗はオニギリをくわえたまま、ピタリと動きを止めた。
「ずっと聞こうと思ってたんだけど……」
「………何よ?」
悠斗はオニギリをテーブルに置くと、真面目な顔つきで夏帆を見つめた。夏帆は視線を避けるように体育座りした自分の膝に顎を置く。
「お前さ……。
あの時のカウンセリング…ちゃんと最後まで通ったんだよな? 」