結局。コンビニでワインやつまみを買い込み、部屋に帰るまでの間、一言も言葉を交わさないまま………
満足げな笑みを浮かべる遥に出迎えられた。
「………遥さん、酔いは冷めたみたいですね。」
蒼介から袋を受け取り、颯爽と廊下を歩くその足どりは先程までの酔いを感じさせない。
「あれっぽっちの酒じゃ酔わないわよ」
そう捨て台詞を吐くと、慣れた手つきでつまみとワイングラスを用意し始めた。
「あれ………」
後からついて来た夏帆が部屋に入るなり固まった。冷蔵庫に酒を入れていた蒼介も、ピタリと動きを止める。
カウンターを挟んだリビングからはテレビの音だけが聞こえてくる。
異様に思った蒼介がカウンター越しに部屋を見回すと……
気持ちよさそうにソファに横たわる誠……。
その瞼は閉じられたまま、耳を澄ませば、穏やかな寝息が聞こえてくる。
「……なんで寝てんの?」
その気持ちよさそうな寝顔に問い掛けるが、返事は返ってこない。
立ち尽くす蒼介と夏帆の間を鼻歌を歌いながら遥が通り過ぎる。
「二人とも疲れてたみたいで、今さっき寝ちゃったのよー」
そう言いながら、部屋を出る時には無かったはずの焼酎瓶とタンブラーをテーブルから片していく。
