私は真っ白な壁が続く廊下を歩いていた。 自分の記憶を頼りにひとつのドアの前に立った。 −鮫島 春子− 『コンコン』 私がノックをすると 「はい」 優しい声で返事が返ってきた。 「失礼します…」 ドアを開けて私が顔を出すと 「あら、あなた…璃子ちゃん?」 冬矢くんのお母さんが笑顔で迎えてくれた。