「お母さん、元気そうでよかった…」 病院を出て、俺達三人は薄暗い道を歩き出した。 「そうだな」 俺は夏季の頭を軽く叩いた。 「母ちゃんの前でそんな顔すんなって。一番寂しいのは母ちゃんなんだから」 俺が夏季の頭を撫でながらそう言うと 「うん…」 夏季は声を奮えさせながら答えた。 寂しいんだな…夏季も…。 神谷は黙って俺達の後ろを歩いていた。 この時、俺達三人の考えている事は同じだった。 早く母ちゃんに元気になってもらいたい。 そう願っていた。