「お母さんが外出した日、もうお母さんの体調は最悪な状態だったんだよ」



俺は先生の言葉を疑った。


「…え?あんなに母ちゃん笑ってたのに…?」



「君達には黙っていてくれと言われたんだが、お母さんは入院中何回も危ない状態になっていたんだ」



俺は黙って先生の話を聞いた。



「お母さんは、自分の体の事をちゃんと理解していたんだろう…。あの日どうしても外出許可が欲しいと私に頼んできた。私は勿論反対したよ。外出なんてできる体じゃなかったからね」


先生は椅子から立ち上がり、窓の外を見ながら話し続けた。



「お母さんは、最後にどうしても子供達とあの家で一緒に食事がしたい。そう言ったんだ。お母さんの強い説得に私は負けたよ…」




俺は先生の話を聞きながら、また涙がこぼれていた。