消して消されて

「今どこ?」

「…病院の外」

夏希の声が暗い。

そんなに瞳は重症なのだろうか。

「事故か何かに遭ったの?」

聞きたいことがありすぎる。

「ううん…」

事故でなければ病気?

唯は夏希に立て続けて聞いたがどれも違うという答えが返ってきた。

「瞳ね…」

夏希は言いにくそうに口をつぐんだ。

「瞳が何?」

唯が夏希の返事を急かした。





「瞳ね…自殺未遂したの」




自殺未遂?

唯の手から携帯が落ちた。

それはどう考えても自分のせいだ。

唯は頭を抱えた。

「唯?聞いてる?」

電話口から夏希の声が聞こえる。

左手で額を押さえたまま右手で携帯を拾い上げた。