消して消されて

唯は文面を見直した。

間違いがないことを確認し、送信ボタンを押そうとした指が止まる。

本当にこれでいいのだろうか。

今自分がメールを送ったら余計に辛い思いをさせるのではないだろうか。

様々な感情が唯を取り巻いた。

しかし美咲の言葉を思い出した。

「このまま何もしない方がダメだよね」

唯は送信ボタンを押した。

送信完了の文字が画面に浮かぶ。

携帯を握りしめたまま腕で顔を覆った。

「これでいいんだよね」

自分に言い聞かせるようにして枕に顔を埋めた。