消して消されて

夏希が帰った後唯はベッドの上に寝転がった。

さっきはああ言ったもののどうやって仲直りをすればいいのだろうか。

電話？

しかしきっとそれはお互い緊張してしどろもどろになるのは目に見えていた。

「メールにしよう…」

これなら考えをまとめてから送信できる。

現代文明に甘えることにした。

さっそくうつ伏せになったまま携帯を開いた。

アドレス帳から瞳のメアドを探して新規メール作成のボタンを押した。

「瞳…元気？…………ってこれじゃ病人宛てみたい」

打った文字を消した。

「大丈夫？………これも違うよね」

文字を打っては消しての繰り返し。

メール1つにこんなにも悩んだのは初めてである。

唯は頭を抱えた。

「どうしよ…」

「唯、入るわよ」

唯の返事を待たず美咲が洗濯物を抱えて部屋に入ってきた。