消して消されて

再び沈黙が走る。

「私は…」

唯が口を開いたその時、ドアノブが回る音が聞こえた。

「お菓子持ってきたわよ」

間の読めない美咲が入ってきた。

「あ、うん。ありがとう」

唯はお菓子の詰め合わせを受けとるとテーブルに置いた。

出ていった美咲を見て唯は失笑を浮かべた。

「とりあえず食べようか」

振り返って唯が提案した頃にはお菓子に夏希の手が伸びていた。

その姿を見て唯は思わず吹き出した。

「あはは!!うん…そうだよね」

腹を抱えて笑い出す唯に夏希は首を傾げた。

「私、分かったよ」

唯は再び夏希の隣に腰を下ろしてチョコレートを手に取った。





「形あるものは壊れたとき直せない。でも形ないものは時間が掛かっても直せる可能性はある」





唯の言葉を聞いた夏希は微笑んだ。