消して消されて






「私は唯が好きなの」





瞳の発言にはいつも驚かされるが、ここまで唯の目を開かせるのは初めてだ。

唯は固まって動くことができなかった。

「言ったら、友達でいられなくなるからずっと内緒にしてた」

大きな瞳の目から涙がこぼれた。

「でも・・・唯が樹くんと付き合ったって聞いて辛かった。ずっと我慢してたけどもう限界!」

まさか瞳が友情ではなく恋愛感情で自分と接していたとは。

唯は少なからずショックだった。

何て返せばいいのか分からない。

「ごめん」

とりあえずそれしか言えなかった。

「謝らないで。勝手に好きになったのは私だから。付き合ってほしいなんて言わない。でも、唯が誰かのものになることも許せないの」

つまり樹に嫉妬していたのか。

「でも、瞳男の子と付き合ってたでしょ?」

すぐ別れてしまうが、瞳が付き合うのはいつも男だった。

「女が好きなわけじゃない。唯が好きなの」

ある意味で最も純粋なのかもしれない。

人を外見や性別で判断せずに中身を愛してくれる。