消して消されて






「樹くんと別れてください」





瞳は頭を深々と下げた。

「・・・言ったよね?それは無理だって」

何度言われようが無理なものは無理だ。

「そんなに樹が好きなの?」

唯は頭を下げたままの瞳の肩に手を置いた。

「・・・違う!!!」

肩に置かれた手を瞳は振り払った。

弾かれた手がジンジンと痛む。





「私は樹くんのことは好きじゃない」





「どういうこと?」

てっきり樹のことが好きだから自分が邪魔者だと思っていた。

「・・・我慢できないの!」

静かな夜の公園に瞳の声が響いた。

感情が高ぶっている瞳の肩が上下している。