消して消されて

蛍公園へは5分も掛からない。

日は完全に沈んでおり、街灯だけが頼りだ。

唯が蛍公園に着くとベンチに人影が見えた。

人違いだと困るのでゆっくりとベンチへ近づく。

「瞳?」

セミロングの髪が確認できたので瞳だと判断し声を掛けた。

ベンチに座っていた人がゆっくりと立ち上がる。

「唯。来てくれてありがとう」

いつもなら飛びついてくるはずなのに今日はそれがない。

どこか落ち着いた瞳に唯は驚きを隠せない。

「どうしたの?何か最近瞳変だよ?」

瞳はクスクス笑った。

「変?どこが?」

「どこがって・・・いつもなら抱きついてくるじゃん」

「そういう気分じゃないの」

「・・・で、話って何?」

唯はそれが気になって仕方がない。

いきなり核心へと迫った。

「私の一生のお願いを聞いてほしいの」

唯は何となく勘づいていた。

次に発せられる言葉を。