消して消されて

やっぱり瞳の電話にでなければ良かった。

そう思うのも仕方がない。

電話を切ってからというものの全く勉強に手がつかなくなっていた。

20時まであと2時間。

一体瞳は何の目的があって呼び出したのだろう。

まさかまた刺されそうになるのではないか。

いつからこんなにも憎まれる人間になったというのだ。

あの紙をもらってから次から次へと問題が発生しているような気がしてならない。

「こんな紙、もらわなきゃ良かった」

今更後悔しても遅い。

唯は使用済2枚と残り3枚をテーブルに並べた。

左から2枚は尾崎博と辺見千里の顔が浮かんでいる。

まるで唯を睨んでいるようだ。

「怖っ・・・」

背筋に悪寒が走った唯は紙をまとめてポケットへなおした。

今は肌身離さずこの紙を持っている。

この紙を持っているのは自分だけなのだろうか。

どうして自分が選ばれてしまったのだろうか。

疑問は尽きないが、肝心の占い師はどこにいるか分からないので全てが疑問のままだった。

様々なことに思考を張り巡らせていたらいつの間にか19時50分になっていた。

「やばっ」
 
唯は財布と携帯だけ持つと待ち合わせ場所へと向かった。