消して消されて

登校中、唯は夏希との電話を思い出していた。

『私は唯の味方だから』

これは一体何を意味するのだろうか。

唯は不安に包まれた。

これまで何事もなく2人とは仲良くやってきた。

2人はこれからもずっと仲のいい友達でいたい。

しかし昨日の瞳の発言は友情を揺るがすものだった。

さらにそれを夏希に話した時、彼女はさして驚く様子もなかった。

あの時は瞳の発言で動揺して頭が回らなかったが冷静になったいま分かる。

夏希は何かを知っている。

自分だけ蚊帳の外に置かれた気分で気に入らない。

いくら瞳の頼みでもそれなりの理由がない限り樹と別れるなどできない。

仮に瞳が樹のことを好きだったとしても唯は譲る気などなかった。

「一難去ってまた一難か･･･」

唯は目の前に到着した電車に乗り込んだ。