消して消されて

「それってどういう…」

夏希の真意が理解できず、唯は疑問符を浮かべた。

「言いたいのはそれだけ!!じゃあね」

「ちょっ…夏希!?」

一方的に電話を切られてしまった。

ツーツーと無機質な音だけが唯の耳に聞こえる。

かけ直そうかと思ったが、これ以上瞳を1人にするわけもいかず、唯はトイレを出た。

「うわっ。びっくりした」

ドアを開けると目の前には瞳が立っていた。

「心配したよ。お腹痛い？」

先程の発言など気にする素振りもなく唯を心配そうに覗き込んだ。

「ううん。平気。勉強進んだ？」

今掘り返すとややこしくなりそうだったので唯も何事もなかったかのように尋ねた。

「それが1つ分かんないところがあって…」

瞳に連れられて唯も部屋に戻った。

可愛らしい鳥の掛け時計を見ると夜中0時を指していた。