消して消されて

「もし仮に何らかのミスで私が容疑者として浮上しても周りのみんなはどっちの味方をするかな?」

千里は普段から理香の行動を操っていた。

理香はクラスから見ればいじめの主犯である。

立場も不利だ。

理香はさらに一気に顔が青ざめた。





「大人しく死んで」





唯は足がすくんで動けなくなった。

ここは体育館裏で人気がない。

指定した場所が悪かった。

それさえも千里は先読みしていたのだろうか。

唯は迫ってくるナイフを避けようとした。

しかし直前で千里が目の前から消えた。

「逃げて!」

理香が千里にタックルをかまして地面に押さえつけたのだ。

「離せ!」

唯も一緒になって押さえようとした。

「こいつは本気であなたを殺す!いいから早く逃げて!」

躊躇したが、唯は自慢の足で地面を蹴りだした。

「待て!」

千里が追いかけようとする。

しかし理香が上から抑え込むので身動きが取れない。

みるみる内に唯の姿が小さくなっていった。