消して消されて

確かに昨日の場面は誰がどう見ても理香が千里をいじめている場面である。

「今日の昼休み、教室に来てたよね。あれにも千里が気付いてこんなメールが･･･」

理香はメールボックスを開いて唯に見せた。

『今からこっちにきて、適当に会話して』

唯は自分の目が信じられなかった。

「放課後、唯さんが体育館に行くのを千里が見たからまた私に連絡が来たの」

「で、あのシーンを作ったってわけ」

理香は頷いた。

「･･･私このままじゃ学校からだけじゃなくて社会からフェードアウトさせられる気がして仕方ない。どうしてあの時、千里をいじめたんだろう」

理香は顔を覆って泣いた。

始めは理香の作り話かとも思ったが、メールや着信に証拠が残っているので信じざるをえない。

唯は千里が恐ろしくなった。

今まで全く千里を信じて疑わなかった。

それほど千里の演技には疑う余地がなかった。

「分かった。明日千里と話し合ってみるよ」

理香は唯の腕を掴んだ。

「止めて!そんなことしたら私殺されるかもしれない」

理香の千里に対する怯え方は尋常じゃない。

「じゃあ転校するとか?」

「転校しても絶対にあいつは私を追い詰める」

理香は明らかに冷静さを失っている。

元々は理香が原因を作ったとはいえ、千里の復讐劇は手が込み過ぎている。