消して消されて

唯は理香の話を頭の中でまとめた。

千里と理香は同じ中学出身でそこで理香は千里をいじめていた。

たまたま学力が同じ程度だった2人は運悪く同じ高校を受験し、さらに同じクラスになってしまったのだ。

入学してからは、理香は千里に興味をなくしたのでいじめは行われなかった。

しかしある日、援助交際している場面を偶然千里が目撃して証拠写真を押さえられた。

それを見せられた理香と千里の立場が一気に逆転した。

理香は写真をばらまかれる覚悟をしたのだったが、千里は思いもよらないことを言い出した。

「もう1度私をいじめてよ」

始めは何を言っているのか理解できなかったが、徐々に千里の意図が見えてきた。

1-4のクラスメイトは比較的、物事の善悪の区別がついていることを千里は分かっていた。

クラスの中で堂々といじめを行うことでクラスメイトに理香に対する嫌悪感を抱かせるのが狙いだった。

さらにクラスメイトの中には理香の好きな人がいる。

理香はその人の前で千里をいじめなければならないのだ。

クラスの中に数人はいじめが行われるとそれに加勢する者がいる。

それが理香の取り巻き3人だった。

その3人を除けば理香は孤独だった。

クラスメイトからは白い目で見られている。