唯は6限目が終わるやいなや足早に家へと帰った。

乱暴に部屋のドアを閉めたあとベッドへ鞄を放り投げた。

「よかった」

唯はペン立ての下にある4枚の紙を手に取った。

捨てられてしまっただけならいいが、万が一誰かが使用してしまったら大変だ。

占い師は自分以外に使用させてはいけないと言っていた。

クローゼットの引き出しを開けると服の間に挟んでおいた紙を取り出した。

それはあの尾崎博を消すために使用した紙だった。

誰かに見つかってはまずいと思った唯は家を出る直前に隠しておいたのであった。

紙をゆっくり開くと、今朝見た通り名前の上に尾崎自身の顔が映っている。

「ほんとに消えちゃったのかな」

まだ心の中では偶然のような気がしてならない。

尾崎は自分のせいで消えたのではなく実は脱走しただけで3日後ぐらいにまた捕まるのだ。

田中の記憶が自分にないのはド忘れしただけ。

そう思いたい。

「ごちゃごちゃ考えても仕方ないよね」

唯は私服に着替えると5枚の紙を合わせてズボンのポケットへ入れた。

とにかくじっとしていても仕方がない。

唯は再びあの占い師に会いに行くことにした。