「え、何が?」


「いや、普段なら『それはない』とか言うのに」


「...ウチそんなに変な顔じゃないと思う」


私の真似をしただろう顔に弱弱しいつっこみを入れると、綾瀬が腕を組む。


「うーん。これは重症だなぁ...」


「普段のウチ、何だと思ってんのよ...」


そして、またコーヒーを飲む。


「...あ、そういえば」


綾瀬がコップを机の上に置き、私に向き直る。


「美崎がここにいるって事は...そういう事?」


「...」


私がここにいる。


つまりは、私と戦った菜月は死んだ。


「...うん。そうだよ」


「...そっか」


綾瀬は目を伏せたが、すぐに顔を上げた。


「私も今ここにいる、から」


確か、綾瀬の相手は佐藤くんだった。


という事は...。